本体価格だけで「1,728万円」と超高額車両です。
残念ながら自動運転機能の「Advanced drive」は延期となりましたが、それが装備されれば2,000万円は超えるのでしょうね・・・
試乗車はメーカーオプションの「20インチノイズリダクションホイール」(スパッタリング塗装)を装備していました。
内装には今回目玉の「プラチナ箔&西陣織」を採用!(660,000円のMOP)
写真を見ると、「これは高すぎでは?」と思いましたが実物を見るとそのクオリティや独特の世界観は良いと思いました。選べるのが「Executive」のみということで、購入できる方も限られますね。私的には、F SPORTのなぐり調アルミパネルの部分を、この「プラチナ箔」に変更したものがあればいいと感じました。(もっとも供給量に限りがあるのでしょうけど)
ちなみに後席はご覧のとおり。
プラチオ箔や西陣織の面積も後席のほうが広い! これは日本発のブランドとしては面白いインテリアパネルだと感じます。
どうせならフロアマットを「畳」にしてほしい(笑)
さて、肝心のプチ試乗インプレッションですが、結論からいうと、ものすごく良くなっています。
乗りながら「これ、3年前に出してよ!」っ叫んでしまいました。
まず、前期モデルから感じた、フロアやアクセル/ブレーキペダルから伝わる「微振動」が相当に低減されており、静粛性の向上とともに振動対策は相当気をつかったのがわかります。
ただ、LS500hのパワートレーンである、自然吸気V6エンジン(8GR-FXE)+"マルチステージハイブリッド"については、アクセルオンをエンジンが切り替わったときの微振動はまだ感じます。
しかし、わずかに振動したあと、スピーカーからエンジンノイズと逆位相の音を発生させ、こもり音を打ち消し、すぐに車内が静かにそして先程の振動が消え去るのは感心しました。
当方は普段からLC500hに乗っており、このエンジンの特性に関しては把握しているつもりですが、もはや限界かと思います。
多くのレクサスLS600hオーナーが望むような「振動のない、そしてパワー感とともに雲の上を走行するような極上の乗り味」はこのV6エンジンと"マルチステージハイブリッド"では実現不可でしょう。
しかし、「静か」、「滑らかさ」、「しっかり感」をきっちり進化して、これぞ「LS」という水準に仕上げてきたのは間違いないです。これがユーザーの期待感に届いているかどうかはユーザーの経験値によるものも大きいかと思います。
■モーターアシスト増、エンジン回転数低減
すでに2019年の改良で対応済のようですが、モーターアシスト量が増加しており、かつエンジン始動時の回転数が「500rpm」低減しているということで、初期LS500hで感じられた「意図しないエンジンの無駄吠え」、「エンジン始動時の回転数上昇」という現象はだいぶ気にならなくなっていました。
ただ、重量級ということもあり、前期モデルに比べれば多少、モーターのみで走行できる領域は増えていますが、ハイブリッドのモーターアシストだけで走行することはほとんどできないため、アクセルを少し踏み込めば少なからずエンジンは始動し、わずかなボディ振動は発生しますので、この点が気になる方はまだまだいらっしゃるでしょう。
■静粛性の向上
久々のLS試乗ということもあり明確に判断ができないのですが、エンジン始動時の微振動を除けば、ほぼ不快な要素はなく、風切り音やロードノイズも気にならず、静粛性についてはさらに向上していると思います。
前期モデルでは、路面状態によるロードノイズの聞こえ方に結構違いがあったように記憶していますが、新型LSでは、走行中にノイズ関係で特に気になる点がありませんでした。
静粛性を向上しながら、車両重量を軽量化しているのは凄いですね。
しかし、静粛性向上がハイブリッドの魅力であれば、新型MIRAIが話題になっているように、「燃料電池自動車」へのシフトが現実的とも感じました。
■シート座り心地向上
「Executive」には、シートに低反発ウレタンを使用し、シートの縫製方法も工夫して乗り心地を更に向上しているようですが、確かにシートの柔らかさと快適さは極上でした。課題であったとされる「AWD」での後席の乗り心地も相当に良くなっているものと思いますが、未経験のため、実際お乗りになった方のインプレッションを待ちたいところ。
■サスペンションも乗り心地重視に
乗り心地も良くなっています。ダンパーも改良のみならずランフラットタイヤの特性も改良されたようで、快適性が向上しているます。
工事跡の路面の荒れた部分もわざと乗ってみましたが、ある程度のふわふわ感を伴ってしっかりといなしていきます。エアサスかどうかわからないぐらいの振動の伝わり方があった前期から相当に改善されている印象で、これぞまさに「LS」!っていう感じです。
当方、普段から乗り心地のよい車には乗りなれていないので、ぜひLSオーナーの方に体感していただきたいですね。
今回は夕暮れのドライブということもあり、驚いたのが「デジタルインナーミラー」の性能向上です。
全車標準化されたことで、ちょっと心配でしたが、当方の想像を上回る進化をしていました。
前期LSのデジタルインナーミラーは解像度も低く、表示エリアも狭く、そしてヘッドライトや強い光を受けると真っ白になって見にくく大きな課題がありましたが、今回改良された新型デジタルインナーミラーは一気に進化し、高解像度、高精細化、そして夜間の視認性が大幅に向上しています。
街灯がLED式の幹線道路でのデジタルミラーの見え方は以下の通り。日没後にもかかわらず、景色の見え方、明るさなど、物理的なミラーと比べても遜色ありません。むしろこちらの方が遠くまで見えます。
前期と比べ距離感もつかみやすくなっています。
すぐ後ろのクルマも自然な大きさで表示され(以前は、異様にクルマに接近しているように見えた)、夜間でもナンバープレートがしっかり認識できますし、ヘッドライトの光も減光処理され表示されていますので非常に見やすいです。
■燃費改善はほぼなし
今回マイナーチェンジしたLSは足回りの軽量化など、カタログ値でなんと「20kg〜30kg」も軽量化が行われています。もうちょっとPRしてもいいのではと思いますが、これが乗り心地の良さにもつながっているのでしょう。しかし、燃費に関してはさすがに変化が無いようです。
当方試乗している試乗コースでは、ようやく「10km/L」程度であり、ハイブリッドモデルといっても決して燃費を優先したクルマではありません。(WLTCモード 市街地燃費が「9.8km/L」のためほぼ同数値)
エンジン回転数の低減などは図られていますが、やはりエンジンの始動/停止はそれなりの回数が行われており、ストップ&ゴーが多い都市部での燃費改善は容易ではなさそうです。
LSは他のレクサス車と違い、走行中でもアンビエントライトが明るめですが、西陣織の部分の光り方がとてもいい感じでしたね。LSのアンビエントライトは「行灯」を意識した光らせ方ということですから、まさに日本の「美」を意識している組み合わせと感じます。
LSのアンビエントライトはドアポケット内部もしっかり照らす仕様となっていますので、実用性も兼ねています。
レクサス車は全般的に夜間はの車内は「真っ暗」。ドアポケットやドリンクホルダーなどに置いた小物を探すにもいちいちルームランプを点灯しなければなりません。LSだけではなく、他のレクサス車にもぜひ応用し、アンビエントライトの光らせ方もブランドとして統一してほしいです。ジャーマン3と言われる、メルセデス、BMW、アウディなどはこういったところはしっかりできていますね。
■たしかに正常進化、LS500にも期待!
短時間の試乗でしたが、この「LS500h」はユーザーの声をしっかり受け止めて改良を図っており、非常に快適な試乗をすることができました。一般道だけでなく、高速度道路試乗などもぜひしてみたいと感じました。
「Executive」ではありましたが、ドライバーズカーとしても充分よくなっていますので、前期モデルに「失望」した方もぜひ試乗してみてください。
他ブランドのフラッグシップ・モデルとの比較では厳しいところはあるかもしれませんが、当初のネガティブポイントは着実に改善されており、よい方向での改良がされたと感じます
まだ未試乗ですが、エンジン自体にも改良が入った「LS500」(V6ツインターボ)も相当良くなっているのでは?
一方で、LS500hの「正常進化」には嬉しく思いますが、今後日本に導入される「Sクラス」を考えると、ようやく3年前のリベンジを果たし、スタートラインに立ったに過ぎないのでは・・・とも感じます。
■やっぱりLSの「MIRAI」はFCV?
「LS500h」はたしかに良くなりました(ナビや先進装備は置いておいて・・・)。
しかし、まだ完全に解消しきれていないエンジンの振動、高級車としてのさらなる静粛性向上を考えると、LSのパワートレーンはFCV(燃料電池/水素)であると確信しました。
LSのFCVモデルは開発中止されたとの噂ですが、V6エンジンと従来のハイブリッドシステムでは限界が見えたという印象が強いです。
当方は、幸いにも11月末に実施される「新型MIRAI 先行試乗会」に当選いたしましたので、世界最高水準とされるトヨタグループのFCVモデル「新型MIRAI」を体験してしばし先のレクサスフラッグシップセダンを妄想してみたいと思います。
この記事へのコメント
Danmarino
BEZLH
詳細な内容で大変参考になりました。
思えば、現行Sクラス(W222)も、デビュー当時に試乗したときは「なんだこりゃ?」という感じの出来(の悪さ)でした。そこからものすごい改良を重ねていって今の評価を得ているわけで、LSも相当良くなっているんだろうなと期待しています。もちろん、最初っからこれで出しておけよ、と私も思います。
銀影ラスター、西陣織やプラチナ箔は、魅力的だと思うんですが、販売不振の打開策にはならないような気がしています。「和テイスト」の不足が不振の原因ではありませんからね。走行性能や乗り心地といった、自動車本来の魅力が欠けていることが問題でしたので。
大きな賭けになると思いますが、FCV化は一つの方向性であるとは思います。ただ、ネックになるのが最高出力でしょうか。初代は150PS、今回でも180PSどまりなんですよね。エントリーグレードで350PS、主力グレードで500PS台の競争になっているライバル勢を鑑みると、いくらモーターとはいえ、Lセグメントのパワーユニットとしては物足りないように思います。
キノ
現車配備されるまではパンチ力に欠けたMCという印象でしたが、顧客が求めるLSらしさが補われたのはよかったですね。MCのタイミングで一緒に自動運転支援装備されなかったのは、非常に残念ですね。半年も経過すれば注目度も落ち始めている頃と思うので。
ディスプレイは賛否あるようですが、レクサスは落ち着く車内環境が強みと思うので、他のラグジュアリーシリーズLCやLXにも間接照明を増やして欲しいですね。
tm
次に期待して、試乗してきます。
乗り心地・静寂性・不快な振動の有無・操作フィール・・・
なまっくす
LSはとても良くなっていましたね。原点回帰の方向です。ただ、店舗によっては試乗のハードルが高いところもあるのかもしれませんね。上級モデルの乗り味がその後の各モデルの方向性を示すこともあるので、希望者には幅広く試乗させてほしいですよね。
なまっくす
今回のLS,ほんと見た目は小変更ですから進化具合を再評価する機会があればいいのですが・・・マイナーチェンジしたことすらあまり知られていないように思うのが残念です。やはり自動運転技術導入が先送りとなったのは痛いですね。
なるほど、FCVのパワーに関しては(体感速度はともかく)見た目のスペックは確かに重要そうですね。
MIRAI試乗会でしっかりチェックしてきたいと思います。
なまっくす
LS、まだターボモデルは未試乗ですが、同様に静粛性や振動は改善されているとおもます。自動運転支援機能見送りは痛いです。おかげであまり話題に登らないMCとなってしまっていますね。
ディスプレイはホント、どうしてしまったのか・・・
そして間接照明、せめてドアポケット、ドリンクホルダーなどの部分は実用性もあるので間接照明の増設をお願いしたいところです。今や、そういうのがないだけでコストダウンと捉えられてしまうほどですし・・・
なまっくす
原点回帰に相応しいいい方向の改善と思いましたが、600hの乗り味が好きな人にはまだ違和感があるかもしれません。ただ、ターボモデルのLS500は同様の方向性であればかなりいい仕上がりになっていることが予想されます。