https://global.toyota/jp/newsroom/lexus/29933170.html?padid=ag478_from_kv
サウンドノイズ、振動面などパワートレーンの評判が芳しくないLS500h(V6・8GR-FXS+マルチステージハイブリッド搭載車)の制御については大きな改良が入ることが噂されていましたが、ようやく実現。また、昨年の年次改良でAWD車に搭載されたショックアブソーバーに「伸圧独立オリフィス」を搭載し乗り心地の面でも進化をするなど、高価格帯のクルマにふさわしい基本的な部分について改良を行った模様。

しかし、内外装が変わらないため展示車の入れ替えはほとんど期待できず、試乗車を入れ替えする店舗も少ないと思われます。
そういうことはメーカー自身も認識しているのか、「年次改良を解説したスペシャルコンテンツ」が開設されています。
https://lexus.jp/models/ls/special/001/
レクサスの年次改良は何を改良したのかが具体的によくわからない部分が多いので、このような解説がされるのは非常に嬉しい反面、今までのイメージを払拭しなければならないという危機感の現れを感じます。
以下は、スペシャルコンテンツで解説されている、NEW LSが改良で追求したポイントです。
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01 ハイブリッドならではの静かで滑らかでパワフルな上質な走りの追求
LSのドライバーが、アクセルを、どれくらいの割合で、どれくらい踏んでいるか。
実は、90%くらいの割合で、アクセルの踏み込みは半分くらいなのです。
そこに着目し、バッテリーのアシスト量を増やしてモーターの駆動力を高め、アクセルの踏み込み量に対する加速を向上しました。
結果、モーターのアシストがしっかり感じられ、より先進的でパワー感のある走りを味わえます。
また、このバッテリーのアシスト量を増やしたことは、パワーを得るという以外にも、走りの質感も向上します。
それは「上質な走り」につながるということです。
具体的には、アシスト量を増やしたことで、エンジン回転数を低く制御することができ、滑らかなギアの繋がりやエンジンノイズの低減にもつながりました。
それにより静かでありながら、滑らかで気持ち良い加速を感じることができる。
そんなLSらしい「上質な走り」を今回の改良で実現することができました。
(以上、公式webページhttps://lexus.jp/models/ls/special/001/から抜粋)
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マルチステージハイブリッド車の欠点である、「アクセルオンですぐエンジンが始動する」、「エンジン回転数がすぐ上がってうるさい」というのは現行「LS」のキャラクターには合わないと言われており、大きな改善要望が出ていたものです。
2018年8月末の最初の年次改良でも"マルチステージハイブリッド"の制御が改良されていましたが、劇的な変化はありませんでした。
しかし、今回の2020年モデルではこれだけPRされるということは、いよいよ目指すチューニングが完成したと思いたいですね。このパワートレーンは市場投入されすでに2年半が経過、開発期間も含めるとかなりの熟成期間がありますので、そろそろ仕上げてほしいところ。
LC500hでも(価格帯を考えると)それほどのパワー感は感じませんし、遥かに重量が重いLSでは「V6・8GR-FXS」は力不足では?との声も根強く、今回の改良でも市場の期待する水準に届いていなければ新エンジンとの換装も現実味を帯びてくるのではないでしょうか。素人考えでは「LS500」のV6ツインターボ(V35A-FTS)を組み合わせればと思うのですが・・・FR系ハイブリッド車は「GR系エンジンではないといけない」という制約でもあるのですかね?
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02 ショックや振動への緻密な対応による、上質な乗り心地を提供
LSの魅力の一つはラグジュアリーさを感じることができる「上質な乗り心地」です。
今回の改良では、そこをさらに追求しました。具体的には、標準設定のランフラットタイヤの、縦バネ(上下方向)を柔らかくしました。FR車もAWD車同様、エアサスペンションに伸圧独立オリフィス、これはショックアブソーバーの伸び縮みでそれぞれに適したオイル流路=オリフィスを設定するバルブ機構なのですが、それを採用し、減衰力の可変幅を拡大し摩擦も減らしました。AVSのロール制御や、リヤサスペンションメンバーのマウント特性も調整。これらのショックや振動への対策により、LSらしい上質な走り、乗り心地が向上しました。
(以上、公式webページhttps://lexus.jp/models/ls/special/001/から抜粋)
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2018年の改良でLCとLS(AWD)には「伸圧独立オリフィス」が早速取り入れられましたが、当時の開発者インタビューでも「なぜAWDのみ?」との質問に対し、「FRモデルには開発が間に合わなかった」旨のコメントがあったと記憶しています。つまり単純に期待された水準のチューニングができなかった、ということのようですが、そこから1年あまりでようやく期待する水準に達したため、ようやく搭載されたということと思います。
ランフラットタイヤも改良されたのが地味に嬉しいポイント。
安易にランフラットタイヤを廃止し、コンフォートタイヤへ換装しなかったのは目指す路線自体の変更はしないという意思表示と感じました。
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03 優雅に過ごせる、後席の空間設計
LSはショーファーカーとしてご利用するお客様もいるので、後席の空間で優雅に過ごして頂きたいと思っています。そこで、“EXECUTIVE”のリヤシートエンターテインメントシステム装着車のエンターテインモードを改良しました。足元と前方視界を広げる空間づくりをすることで、助手席の位置を問わず優雅に後席ディスプレイの映像を楽しんで頂くことができます。また、後席マルチインフォメーションパネルでは、よく使う機能を1画面に集約し、画面の階層を可能な限り減らしました。これによりさらに、直感的に素早く操作できるようになりました。
(以上、公式webページhttps://lexus.jp/models/ls/special/001/から抜粋)
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もともと、リヤモニターの位置や足元空間についてはリヤ席を使用するVIPの方から、視界や居住性に問題があるとの声が出ていたようで、年次改良で取り組むのはフラッグシップセダンとして適切な対応と思います。
ただし、今回の新型LSをもってしても、新型「RX」で採用された「Apple Car Play」「AndroidAuto」対応などのマルチメディアシステムの対応は見送られているのは残念なポイントの一つ。

また、2017年夏頃から搭載されている「ハイブリッドナビ」に関しても、大きな進化が見られません。
たとえば、当初からナビゲーションの基本である「5つの探索ルート」に加え、「ルートパターンは、随時、追加配信を予定しています」とのことでしたが、そこから2年が経過しているにもかかわらず、追加パターン配信はありません。トヨタブランドの「コネクティッド」すでにレクサスのそれよりも「LINE」関係のアプリなどの面で進化がしており、レクサスブランド車におけるマルチメディア・コネクティッド関係の進化具合が遅れているのは残念なポイントです。

2020年はレクサス車に多くの「変革」があると噂されています。
また、あと3週間後には開幕している「東京モーターショー」ではLSの進化モデル(自動運転車・FCV車?)の発表もあり得ると思いますし、現行LSのマイナーチェンジもそう遠くはないと思われます。
今回の改良は内装・外装の変更がほぼゼロのため、これで販売が向上することはほとんどないと思われますが、それにも関わらず、マイナーチェンジを待たずして、フラッグシップセダンとして重要視される部分を市場等の声をうけとめて改良してきたのは評価すべきではないでしょうか。
この記事へのコメント
うめてん
なまっくす
>うめてんさん
>
>Apple Car Playは既存のナビシステムに組み込むのが難しいのかMCの目玉としてあえて取っておいてあるのか気になる所ですね。レクサスオーナー様は3〜5年で乗り換える人が多いと思わるので、MCのタイミングで新装備として謳えば乗り換えも促せるのでしょうが、既存オーナーにも救済措置が欲しい所です。
なまっくす
Apple Car Playですが、北米では既存車種に有料アップデートで対応できることがアナウンスされているのでハードウェア的には問題ないと思います。あとはタイミングというところでしょうか・・・
密かにLSの年次改良で対応してくるかと思っていたので、残念です。
今回も対応しなかったということで2020年モデルの新型車から対応、ということになりそうですね・・・
Danmarino
いつも詳しい解説ありがとうございます!
今回のLSは新しい事に挑戦した、との話もあるようですね。マルチステージハイブリッドなど新しい事の熟成という意味での難しさを感じさせますね。技術者の皆さんには頑張ってほしいと思うと同時に挑戦への努力に頭が下がります。これでなんとかメルセデスと戦えるレベルになって欲しいですがマイナーチェンジにも大いに期待させていただきます!
庭人
先日、fanblogにLSのプログラム更新についてコメントしたその後です。
その後にいろいろ試しました、、、その結果の感想となります。
全く別物のパワートレインに生まれ変わっているかと。。。
無駄吠えがなくなり、エンジンの回転と加速がしっかり噛み合うようになりました。
スタートはスムーズ、アクセルの踏み込みと連動しリニアに加速します。また中速域からの加速もトルクフルで、全域においてモーターのアシストが良く効いています。
静寂性についても、無駄吠えがなくなり、モーターからエンジンへの切り替わりがスムーズになった結果、聞かされ感が強かったエンジン音が抑えられ、非常に心地よいエンジン音となりました。もちろん静かです。。
点数をつけるとすると、以前は30点、更新後が80点、でしょうか。
、、、重厚なLSが戻ってきました。
> こんにちは、2020年のLS500hパワートレイン制御プログラムの更新情報に
> なります。
> 先日、2020年プログラムに書き換えを行いました。
> ディーラーからは、「エンジン制御の変更はなし」、
> 「ミッション制御の変更のみ」とのアナウンスでした。
> 以下は更新後、市街地20km走行の感想です。
>
> 走り始めがスムーズになりました。
> 以前はアクセルを強めに踏み込むと、ドッと突き上げるような急激な
> エンジン始動による衝撃に見舞われました。正直、周りの通行人を
> 気にする程の振動を感じていました。
> 更新後の違いは明らかで、無造作なアクセル操作でもマイルドに反応し、
> 衝撃を感じることがなくなりました。
>
> 走行中のアクセル踏み込み時の無駄吠えは、市街地20km走行の中で
> 感じること> はありませんでした。しかしながら、改善有無の判断は
> 尚早で、高速道路等での確認が必要です。後日改めて検証してみたい
> と思います。
なまっくす
こちらでもコメントありがとうございます。
当方も20日過ぎに試乗できる機会を得ましたので、ぜひタイカンしてきたいと思います。
庭人さんのご体感どおりの仕上がりであれば、一気に「これぞLS」という仕上がりになった感がありますね。
ぜひ高速道路でのインプレッションもお願いします!m(_ _)m
のんたん
完成して早々ですが、ほぼ確実に『次』が来年あるそうですよ!
自動運転もLSから次世代になるそうです
ほかほかの情報です☆
なまっくす
なるほど、やはり「次」ありますよね〜
東京モーターショーで少しはお披露目してくれればいいのですが。
自動運転、他メーカーに先を越された感があるので、一気に先進性かつ話題性のあるものを準備してほしいですね。
うーん、楽しみです!
庭人
こんにちは、庭人です。
LS500h年次改良プログラム更新後の高速走行について簡単にコメントします。
率直に申し上げると、改善が為されたとは言い難いフィーリングです。
中速域からの加速は、変わらずの無駄吠えの連発でした。
オートクルーズの加速も、無題に回転が高く、さらに回転が高まるとなかなか戻りません。
この2つは、引き続きの課題です。
次回の更新にも期待します♪
今回の年次改良更新プログラムで大幅に改善されたのは、
オーナーとして、大いに納得のいく対応でした。
なまっくす
詳細な追加レポートありがとうございます!
2020年モデルの一般オーナーのレポートはほとんどないだけに貴重です。
想像どおりでしたが、やはり中速〜高速度域はあまり変わらないようですね。オートクルーズ時の加速はなんとかしてほしいところですよね。目の前に車が見えている状態でも加速して追いついて、そのあとブレーキをかけるという制御は一般的なマナーのあるドライバーでは行いませんから、そういったところは洗練させてほしいと思います。
ただ、特に都市部走行では低速度域のフィーリングの改善は相当な効果があると思いますので、その点は良かったです。これが広く知られるようになると販売も上向くかもしれません。