3シリーズはこれで7世代目ということで、いうまでもなく様々なメーカーからベンチマークとされている車ですが、レクサスではインテリジェントスポーツセダン「IS」が直接のライバルにあたりますね。

2013年に発売された新型ISの発表当時は「BMW3シリーズに並んだ、同じフィールドに立った」との声・レビューを多数見かけましたが、その後の改良で差がついたのか、2016年のマイナーチェンジも含め、現在ではそのような声を聞くことはほとんど無くなったのは残念です。
BMWにはディーゼルモデルも存在し、ISの販売の大多数は直4ハイブリッドの「IS300h」ということでパワートレーンの性格が異なるのもあると思いますが。
BMWの3シリーズといえば、お世辞にも高級車とは言えない内装の質感がウィークポイントでしたが、第6世代目ではずいぶん見栄えが良くなり、今回発表された第7世代目においては、現行のレクサスISの質感は完全に超えており、通常の進化度合いでいくと次期レクサスISがこれを超えることはなかなか困難ではないかと思われる仕上がりです。
運転席周りは非常に見栄えが良くなり、スピードメーターもかつてのBMWからは想像できないフル液晶化。(Z4ライク?)
レクサスはBMWを真似して「シンプルな2眼メーター」に回帰した時代がありましたが、その後各社液晶化が進化し、あっという間に突き放されました・・・。

特に、センターコンソールに関しては、BMWの最新世代デザインにアップデートして、大変見栄えが良くなりました。
先般発表された「GRスープラ」の内装は旧世代のBMWのそれでしたが、今回のBMW3シリーズの内装は、新型Z4と同じく旧来からのファンにとっては好みが分かれるかもしれませんが、価格に見合う質感を確保していると感じます。
3シリーズがセンターコンソールパネルの仕上げを「加飾パネル化」、ドリンクホルダーも「むき出し方式から脱却」したことで、レクサスISがどう仕上げてくるか、注目です。

ナビゲーションシステム周りも非常に見栄えが良くなりました。
メルセデス・ベンツと同様、AIを活用したボイスコマンド(インテリジェント・パーソナル・アシスト)を実装。
レクサスの「エージェント」は「ほぼ決まった言葉」しか認識しない点でだいぶ差がありますが、メルセデス・ベンツが新型Aクラスから導入した「MBUX」も認識度はそれほど高いとは感じず、私的には、まだまだ実用性は高いとは思えませんでした。(もっとも、クラウド機能で進化するとのことですが)
BMWのそれがどこまで実用的になっているのかは注目したいところ。メルセデスとの違いは、AIに対し、好みの「ニックネーム」で呼べるという点で、これはおもしろいですね。(流石に、「OK、BMW!」は言いづらい?)

安全装備にも、日本導入車として初めてとなる「3カメラ」を採用しているとのこと。
もちろん、そのほか、レーダーやセンサーによる制御もあり。
レクサスの「LSS+」は1つのカメラを採用。LSのセーフティシステム「LSS+A」では2つのステレオカメラを採用していますが、今回の3シリーズは3カメラですから、より高精度な衝突回避機能、レーンキープ機能が備わっているのは想像に難くありません。
仮にレクサスISが2020年に発売になるとしても、その時点のトヨタ/レクサスの「最新の安全装備」がレクサスISから新導入される可能性低いと思われます。この点、先般発売された8シリーズや上級の5、7シリーズへの投入を待たずして3シリーズに投入してくるあたり、単にドライビングマシンとしての性能を確保した車ではなく、並々ならぬ物を感じます。

安全装備は、このクラスとしてはフル装備と言えます。次期ISは少なくともこれに並ばないと勝負になりませんが・・・。
また、「リバース・アシスト」の導入も凄い!
これは時速35km/h以下、かつ最大50mまで、自動的に今まで進んできた道をトレースしながらバックしてくれるものとのことです。
都心部での極狭地域に入り込んでしまい、難儀している高級車をよく見かけますが、これはありがたい装備。
最近のレクサスでは「自動駐車システム」等が導入されていませんが、逆に欧州車がこのあたりを積極的に投入しているのは皮肉なものですね。
こういうのは日本車が初導入してほしいものですが。

また、簡素な表示だったヘッドアップディスプレイ(HUD)も大型化。ロードサインアシスト機能もついている模様。
新型ISにはHUDは装備されるでしょうか・・・?
もはやこのクラスでは標準装備となりつつありますが・・・

BMW3シリーズは、日本の規格にあわせ専用のドアノブを開発し、1800mmに抑えたという開発秘話も有名でしたが、今回は1800mmの枠にとらわれることなく、ボディサイズも拡大。(全長で70mm、全幅で25mm拡大とのこと)
ホイールベースも70mm拡大しているとのことで、後席の居住性も確保しているものと思われます。

しかし、サイズを拡大しながら、重量を「約55kg」も軽量化させたのも凄い!
次期ISが発売された場合、プラットフォームは、「GA-L」(新型クラウンに使用された「GA-Lのナロー版?」)が使用されると思いますが、新型クラウンも先代に比べ大幅に重量が増加しているのが気なりました。
つまり、「GA-L」プラッチフォームはボディ剛性が非常に高まっていますが、そもそも軽量にできていないと思われます。
次期ISが新型BMW3シリーズのように軽量化できるかどうか。
フェンダー、ドア、フロントサスペンションタワーは当然アルミニウムに置換、ラゲージ部分は樹脂化したとして、それだけでは追いつかないでしょう。軽量化にどこまでコストをかけることができるか、それがISの仕上がりに大きく影響を与えるように思います。

各社先進機能を投入する「ヘッドライト」に関しても新型3シリーズでは、先進のレーザーライトを導入。
現行ISは「AFS機能」が廃止されただけでなく、対向車等を認識して照射位置を可変させる「アダプティブヘッドランプ」も装備が見送られるなど相当に差があるだけに、新型ISではアップデートは必須レベルですが、果たしてどうなるか。新型ESと同様、「上下2段式アダプティブヘッドランプ」は最低でも採用してほしいところ。

足回りも「Mスポーツ」は見栄えのよいホイールとかっこいいブレーキキャリパを装備。
次期ISも(カラードキャリパなど)このあたりはしっかり期待に答えてくれるものと思いたいです。

・・・と、公開された画像をざっと見ていくだけで、新型ISが2020年頃に発売されたとしても、BMW3シリーズのスペックや質感を超えるのはかなりハードルが高そうです。(走行性能・官能性能で追い越すというレベルまではなかなか困難でしょうから、「レクサス初」、「量産車世界初」などの目玉の装備を複数投入しないといけないレベル?)
次期ISは今回もBMW3シリーズのフルモデルチェンジ後の発売となりそうですから、ユーザーの目も当然厳しくなりますね。
今までは「安全性能や内装の質感」での優位性がありましたが、新型を見る限りその点でのアドバンテージは無くなっており、逆に追いつくのが困難なレベルに思います。現行レクサスGSがBMW5シリーズ、メルセデスEクラスとの直接対抗を断念した(と思われる)ように、今後、ISがどのような方向性で進化をしていくのか、果たして別の方向性で進化を遂げるのか、ますます期待が高まります。
新型BMW3シリーズは3月3日に開催される、東京マラソンで、公道初お披露目されるようなので楽しみです!
沿道でその姿を確認したいと思います。

追記:なんと、東京駅八重洲側にあるBMWのサテライトショップ(グラントウキョウサウスタワー「BMW GROUP TERRACE」)
にてすでに3シリーズ(ポルティマオ・ブルーカラーの「330i M Sport」)が展示してあるそうです!
impress Carwatch
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1167500.html
この記事へのコメント
Danmarino
しかしメルセデスCクラスといいBMW 3シリーズといい結構攻めてきますねぇ。次期ISはもうFFにするとか、考えないとちょっと驚きです‼️
UCF30
新型3シリーズには多分追いつけなさそうですが(笑)、LSとES発売後のユーザーの反応をを活かしたISにして欲しいなと。
まぁ売れないセダンにトヨタがどこまでお金をかけるか、これに尽きると思いますw
フラン
筋肉祭
これや8シリーズを見ると、それまで格好良く思えてた4、6シリーズですら古く、野暮ったく見えてくるのが…。
ただ、こういうのを見てしまうとISというかレクサスに絶望しか感じないというか、あとは信頼性しか残ってないというか。(勿論、信頼性は凄く大事なわけですけど。あとディーラーでの接客は個人的にどうでも良いので)
GSが直接対抗を諦めたというのは、そうとしか見えないですし、Fの扱いについても同じで、それに変わる車の魅力やレクサスの価値観を提供できているのかと言えばそうは思いません。
メルセデスの本気、BMWの本気、Audiの本気、みたいに言われるモデルが次々登場しているのに、近年のレクサスは(LCの登場を除いては)周回遅れなのに丸っきりあぐらをかいてるようにしか見えず。それらモデルの登場がレクサスに危機感をもたらし、魅力的なモデルをつくってくれる…。そんな気がまったくしません。
今までは、なまっくすさんのような厳しい視線、厳しいレクサス愛、こそが、レクサスを磨き、強くしてくれるし、きっとレクサスも奮起してくれると信じてましたが、最近はなるようにしかならないのかな、と思うようになってきました。
シェアや販売台数が減らないと危機感は生まれないのでしょうか…。
ダボちん
初代LS、HS、CT、LS、GS450H、LS500とずっとレクサス愛を夫婦で貫いてきました。今年GSが3回目の車検を迎えるにあたり乗り換えをと思っているんですが、今のレクサスにはほしい車がありません。個人的にはスポーツセダンが欲しいんですが…BMW3魅力的ですね。
たい
後はエクスクルーシブパッケージみたいなレクサスで言うLセレクトを全車種に取り入れてみたら面白そうですね。
アンソニーみうら
ツーリング ディーゼルエンジン搭載車 PHEV 直6と順次投入されるのでしょうね。
レクサスISとの比較で皆さん割と悲観的にとらえられていますが、そんなにも皆さん自信ないでしょうか?
ハイブリッドシステム 後輪操舵 高効率エンジン 御三家ブランドに対するキラーコンテンツはまだまだあると 僕は思います。
第一、韓国製部品をためらいもなく使う御三家ブランドは正直どうかと…(決してヘイトスピーチではありません。)
なまっくす
まだ実車を見ていませんが、デザインもいいですし、これはヒットすると思います。次期ISが本当に発売されるなら直接対決は危険なレベル・・・
確かに、路線を変更して直接対決しないほうが良いようにも思えてきました。後出しジャンケンでは最悪引き分けにはしないといけませんし・・・大丈夫かなぁ。
なまっくす
パワートレーンは本当にどうなるんでしょうね?
ターボエンジンは確かにそろそろ改良時期ですが、最近のトヨタの方針ですとLEXUS専用ということはなさそうなので、クラウンとの共用はありそうですね。直6は、さすがになさそう。(でたら最高ですね!)
BMW3シリーズに追いつくにはかなり気合の入ったモデルチェンジとする必要がありますが、2020年に発売ならすでに基本設計は終わっていると思いますので、勇気ある延期・撤退という選択肢もあるかもしれません。
なまっくす
GSに続きISも販売停止になってしまうと、プレミアムブランドの一角とはいえなくなってしまいますので、ぜひ後継車種は発売してほしいところですが、ここまで見栄えも性能もアップすると、(しかも日本専用エンジン!)相当に厳しい戦いが予想されます。
基幹モデルとしてぜひ奮闘してほしいです。やっぱりISクラスが元気にならないと・・・
なまっくす
私の場合、BMWのブタ鼻グリルが苦手だったのですが、最近はグリルが繋がり横長になって違和感がなくなりました。
8シリーズは素晴らしくかっこいいですが、新型BMW3シリーズの特にMスポーツはかなりかっこいいと感じますね。
レクサスはSUV系の好調により販売数を伸ばしていますし、好調に見えますが、2010-2015年ぐらいの間の技術革新が乏しかったせいか、新技術という面では周回遅れ状態が続いているのは否めませんね。
現在のレクサスはLSでの失敗をリカバーすべく、奮闘してくれると淡い期待をもちつつ、また今後は新型車の投入も定期的に行われるとの噂もありますので、もう少し見守りたいと思います。
しかしここまで3シリーズの質感が上がるとはトヨタ開発陣も意外だったのではないでしょうか。近々、実際確かめてきます!
なまっくす
コメントありがとうございます。
すばらしいレクサス遍歴ですね!
GS450hの後継は、本当に悩ましいところです。メーカー的にはクラウンなのでしょうが、質感では相当に差がありますし、ES300hではパワー&駆動方式の面でやはり問題がある、というところですよね。
現行GSはもう年次改良もほとんど行われないでしょうし・・・
次期ISは大型化してGSクラスの受け皿になるとの噂もありますが、2019年の発売はありませんので、現状では確かに選択肢がありませんね。複数所有なさっているので、1台は別ブランドというのもアリと思います。
BMW3シリーズならご要望には応えられると思うのですが、エンジンパワー的には少し足りないので追加モデルを待ったほうが良いかもしれません。
なまっくす
特にメルセデスやBMWは次々と派生車種を出してきて本当に勢いがあると感じます。レクサスもIS、RCの派生車種があればより人気は高まると思うのですが・・・
次モデルはハイパフォーマンスの「F」設定の噂もありますが、果たして旧オーナーが戻ってきてくれるのかという心配もありますし、せっかくの受注生産なのですからオプションの選択肢や特別塗装色、特別内装色の選択肢があっても面白いですよね。
今回のBMW3シリーズとは真っ向対決せず、違う路線で挑むというのも一つの選択肢と感じました。
なまっくす
そうですね、現状ではお手頃な価格の車種でユーザーの心を掴み、ハイパフォーマンスなパワートレーンを次々に投入してくるのだと思いますが、日本専用のエンジンを投入してくるなど日本市場を重要視しているのは嬉しいですね。
レクサスの良さも確かにあるのですが、今まで優位としてきた部分がことごとく進化していますので、車本来の性能・機能をさらに高めて行かないといけませんね。レクサスの優位点はハイブリッドシステムにあるので、ぜひここをさらに活かして欲しいですし、3.5L"マルチステージハイブリッド"システムやLSのツインターボを投入するなどの作戦もアリかもしれません。
アキラ
車体の軽量化はまだまだコストも含めて難しそうです。
なまっくす
次期ISに関してはクラウンのものをそのまま使用するのが現実的と思います。しかしなんでGA-Lプラットフォームはあんなに重い車ばかりなのでしょうか・・・ISクラスだと、1600kgは切って欲しいところですね。