新型LSの試乗レポートが本格化!しかし!

ツインターボエンジンを搭載する「LS500」についても納車が進んでいる新型LS。
今年に入り、街中で見かける機会が一気に増え、そのクーペライクなデザインは外で見ると、非常にカッコいいです!

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さて、今まではwebメディアでのレポートが中心でしたが、輸入車専門誌でも、メルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズなどと比較・試乗レポートが本格化してきました。
LSクラスになると「指名買い」が大多数を占め、クルマ好きな方以外は他ブランドとの比較はされないのかもしれませんが、やはり新型LSがどれくらいのパフォーマンスに達しているかは気になるところです。
とくにこのクラスのライバル車に乗車・所有するのは非常にハードルが高いため、専門家のインプレッションは貴重な情報源となります。


まず、「GENROQ」誌、「ENGINE」誌ではどちらも残念ながら非常に厳しいインプレッションとなっています。
どちらも大部分はハイブリッド仕様の「LS500h」に関するインプレッションであり、LS500では少し違った内容になる可能性もありますが・・・
特にこの時期の雑誌でのレポートは、12月にトヨタ自動車が各メディアを招待し、おそらく品川(高輪)のプリンスホテルからスタートし、伊豆・修繕時エリアのサイクルスポーツセンターまで往復するというもので、相当なコストをかけて運営しているはずです。(つまり、雑誌単独でのレポートではないため、通常「忖度」により、評価が甘くなる傾向にあるので、これでもまだオブラートに包まれた表現という印象。)


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当方はここ10年ぐらい、レクサスの新型車のレポートはざっと目を通してきたつもりですが、このクラスはライバルが明確であり、各メーカーとも力が入った手強いというのもありますが、他車を十分研究しつくす時間があるなか、発売直後にここまで厳しい評価にさらされているのは初めてではないでしょうか。
(当初は絶賛でもだんだん手厳しくなっていくのが一般的)

これらのレポートでは、静的質感や製造品質、耐久性などはほとんど加味されないため、自動車の基本性能といえる、動力性能や乗り心地、燃費、官能的なフィーリングが評価の中心となりますが、従来レクサスが得意としてきた「乗り心地」の面と、「燃費」の面でアドバンテージが取れていないのが大きく影響しています。

他ブランドが複合素材を組み合わせ大きく軽量化しているなか、「GA-L」プラットフォームは外板にアルミやカーボンといった素材を使用しているにもかかわらずLCでも「1940kg〜2020kg」とかなり重く、LSに至っては更に200kg〜300kg程度重い「2150-2390kg」ということも影響してか、巨体をスムーズに動かすためのパワーがライバルに比べ足りていないようです。また、1500−2000rpmあたりのトルクが高くないということもあるでしょう。これにより必然的にアクセルを踏み込むシチュエーションが多く、エンジン回転数が高まり、ハイブリッドでは、モード燃費を大幅に下回るリッター10〜11km/L台しかマーク出来ていないのでしょう。

また、乗り心地の面ではエアサスペンションを採用にもかかわらず、特に後席の微振動やノイズについて言及しているメディアが多く、厳しい評価につながっているようです。ノイズに関しては、LCで初採用したマルチステージハイブリッドのエンジン部分に起因するものも多いと思われますが、ドライバーの意図しない高回転域をキープする傾向があるのはLCと基本的に同様であり、LSではずいぶんマイルドになったとはいえ、歓迎されないでしょう。


第3世代レクサスの先鋒である「LC」で、ジャーマン3勢と同じフィールドで比較されることが増えて評判があがっていたところですが、(といっても中心はV8のLC500ですが)LCは趣味嗜好製の強いジャンルのクルマであり、「LS」のような自動車の王道といえるジャンルで、幅広い層に使用されるフォーマルなクルマではまだまだ・・・ということなのでしょうか。そして、今年は新型アウディA8の登場により、更に厳しい戦いが予想されます。

もちろん、評価基準は人それぞれではありますが、今回のLSは価格的にも上昇し、ライバルメーカーと価格的にもかなり近くなっており、従来のように「他社の80%の価格なので性能も80%」ということは通用しなくなっています。

日本国内においては「新型センチュリー」や「新型クラウン」という従来型王道セダンの発売が控えており、同じブランド内にも「レクサスGS」がある中、新型LSがこのままの方向性で突き進むことができるのか?特に「LS500h」に関しては、現状では早々に方向変更が行われる予感がしてなりません。

新型LSはモータージャーナリストからの意見や従来のオーナーからの声にどのように応えようとしているのか、それとも当初に定めた方向性を貫き通すのか。クルマとしての基本性能はもちろん、未だに評価の高まらない操作デバイス(リモートタッチパッド・ドライブモードセレクトスイッチ)や、LTAのレーンキープ性能が思ったより高くないなど細かな点も含め、新型LSはまだまだ日本市場におけるチューニング不足という印象も強く、11年ぶりのフルモデルチェンジを迎えたLSに課せられた課題は大きい印象です。

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この記事へのコメント

  • GS350

    こんばんは!
    LS500契約したので今さら引き返せないですが、正直なところ、やっとフルモデルチェンジしてこの程度かよってのが本音ですね。開発チームはなにがしたいの?と直接言ってやりたいです(笑)
    ですが個人的にドイツ御三家には興味がないのとなんやかんや国産のほうが安心感があるのでLSにしました。ツインターボを楽しめればそれで良いかなと思ってます。
    早い段階でマイナーチェンジが行われるのではないかと勝手に予想してます。
    まぁ、評論家のコメントは全く信用してないです(笑)ドイツ車褒めるイメージしかないので(笑)
    叩かれても這い上がってほしいですねー
    2018年01月30日 22:45
  • ちびっと

    フラッグシップなのにこの評価になってしまうこの現実。
    開発陣は開発中からもそうなるだろうなぁという認識はあったはずだと思いますが、どうしてこういう製品を商品化してしまったのでしょうか?そこに今のトヨタの問題の一つがあるように思います。

    実質的に世界トップの自動車メーカーなのに、欧州メーカーに対抗できないフラッグシップの原因とはどんなものがあるのでしょうか?

    アルヴェルの上1/3のちょんぎって外観をLSのデザインでラッピングした車をだした方が評価があがりそうですが、そう思わせてしまう現状も歯がゆいところです。今のレクサスはユーザー目線が足りないような気がしますね。
    2018年01月31日 00:15
  • ジャクソン

    海外メディアを中心に評判を見ているのですが、実用性の問題点としてどの人も指摘するのは後席のヘッドルームのなさですね
    これはドイツ車とは別路線を歩もうとしてこうなっているというのが大方の見方のようで、そもそもエクステリアやインテリア、スタイリングにデザイナーが力を注ぎ、その結果実用性が犠牲になってああなっているという見解ですね
    後席の実用性を切り捨てた代わりにあのスタイリングを手に入れているわけで、近年のレクサスが公言する好きな人にとことん響く車を作るというのをわかりやすく有言実行していると思います

    走行面の問題点として指摘されているのは振動以前に500hのパワートレインの3500NAハイブリッドの出力不足ですね(LS500にかんしてはそこまで指摘されてはいない)
    振動であったり高回転気味であることは間違いなくLS500hの3500NAの出力がそもそも低いことと最大トルクを発生する回転数が5100rpmであるという特性が招いていて、それをマルチステージハイブリッドシステムをもってしても補いきれていないというのが現実といって良いでしょう
    岸田晋二副チーフエンジニアに確かオートカーがインタビューした際に、なぜ3500ターボをハイブリッドシステムに用意しなかったかを質問した際の回答によると3500ターボが完成したのがそもそも最近であり、3500ターボをハイブリッドシステムに組み入れる時間はそもそもなかったため、3500ターボハイブリッドは投入できなかったとのことでした
    ここは私の推測なのですが、ハイブリッドを用意するのにV8を用いた旧システムかダウンサイジングの新システムかで二択になった際後者を選択したというのが実際のところではないかなと考えます
    ちなみに岸田さんに3500ターボハイブリッドは開発中なのかを同じインタビューで質問したところ、満面の笑みとともに秘密と答えられたそうで、開発を匂わせていますからどこかのタイミングで3500ターボとマルチステージハイブリッドを組み合わせたパワートレインでもって現行のシステムを置き換えるつもりなのではないでしょうか
    2018年01月31日 17:36
  • なまっくす

    to GS350 さん

    LS500の凄さは誰もが認めるところと思いますが、ライバルと比べると期待値が高すぎたということもあるのかもしれませんね。
    安心感やメンテナンス性、耐久性、実用性は得意とするところですが、メディアでの評価では報じられないのは残念です。
    ツインターボに関しては評判も上々のようですが、レクサスの得意分野はハイブリッドだと思うので、こちらもなんとか奮闘してほしいです。

    LSは新プラットフォームに切り替わったばかりですから、まだ伸びしろは相当あるはず、なるべく速く日本の道路環境に合うようにアップデートしていってほしいですね。
    2018年01月31日 20:07
  • なまっくす

    to ちびっと さん

    コメントありがとうございます。
    初代LSを超える衝撃を、というキーワードで開発が始まったということですが、現状ではかなり厳しい評価になっていますね。

    11年ぶりのモデルチェンジということで期待値が高すぎたというのと、ドライバーズカーとしたはずが、ライバルを凌駕する性能になっていない評価なのは残念です。日本における保守的な層のオーナーさんから、「新型センチュリーの方が良い」ということにならなければいいのですが・・・
    やはりフラッグシップサルーンに求められる乗り心地や静粛性を極めた上で動力性能やハンドリング、官能性能を磨くべきだと思います。
    2018年01月31日 20:13
  • なまっくす

    to ジャクソンさん

    大変詳細かつ熱いコメントありがとうございます。m(_ _)m
    確かに海外では後席頭上のクリアランスについて言及されていましたね。
    日本でもアル/ヴェルの上級モデルが使用されることが増えてきたので、開放感のある室内空間や頭上のクリアランスは需要な要素なのでししょうね。

    LC・LS500hのV6NAエンジンは型番こそ変わっていますが、基本性能は従来型のエンジンとあまり変わっていないのはかねてから心配でしたが、やはり物足りなさを感じますね。
    一度LC500hで、充電がほぼゼロになったことがあるのですが、モーターアシストがなくなると本当に鈍重な感じで驚いてしまいました・・・またLCはまだしもLSでエンジンを4000−5000回転まで回すシチュエーションはめったにないはずですので、その領域までエンジンを活用する前提のセッティングは疑問ですね。

    LS500で搭載されるツインターボエンジンは、今後、デチューンしてレクサスの
    他モデルに搭載されるという噂もありますし、ハイブリッドシステムに組み込むのは理想的ですね!

    BMWもツインターボとモーターを組み合わせてとてもいい感じでしたのでいますので、そろそろトヨタ/レクサス陣営もモーターとターボエンジンを組み合わせたシステムに移行しても良いのではと思います。

    北米ではほとんどがツインターボの販売になると思われますが、そちらの評判にも注目していきたいですね!
    2018年01月31日 20:23